第三者による相続人調査

借家人死亡後の賃貸借契約

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近年、家族や社会から孤立している独居生活者が増加しており、高齢者等の借家人の孤独死・孤立死により大家さんが事後処理に苦慮するという問題が多く発生しています。

借家人は、大家さんに賃料支払義務を負っている債務者というだけでなく、大家さんに対して目的物を使用収益させる権利や将来の敷金返還請求権を有する債権者でもあります。
借家人の死亡によって賃貸借契約は消滅せず、賃借権は相続財産として相続人に当然に承継されることになります。
相続人が複数であればその全員が共同相続し、全員が使用収益権を有することになります。(民法264条)

この点は、賃料支払義務のない使用貸借(民法599条)が借主の死亡により消滅するのとは異なります。なお、部屋に残された動産類の遺留品も当然に相続財産であり、賃貸人が勝手に処分することはできません。

第3者による相続人調査

job_bengoshi_manそこで大家さんは、交渉相手として新たに賃借人となる相続人を探すことから始めなければなりません。

大家さん(賃貸人)は、未払分の賃料については債権者の立場になり、敷金・保証金の返還については逆に債務者の立場になります。また、遺留品や残置物の処分についても対応を誤ると後々賠償問題にも発展しかねませんので清算業務は慎重に行う必要があります。
また部屋によっては、残置物によりゴミ屋敷になっていることも多く、それにより腐敗臭がしたり壁紙や床の損傷が拡大することもあります。

滞納分の家賃が敷金・保証金で賄えない場合、保証人がいれば保証人に対して請求することになりますが、実際には保証人に支払能力がなかったり、所在不明であったりすることも予想されます。また、相続人に対して請求しても、賃貸借契約の継続を望まない相続人であれば支払に難色を示すことも十分考えられますので、滞納家賃をいたずらに増やさないためにも清算事務は早めに対処することが賢明です。

具体的には、戸籍調査により賃借人の生まれてから死亡するまでの戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍を収集し、さらには賃借人の相続人である子の戸籍と戸籍の附票も収集しなければならず、賃借人の親族が保証人となっている場合等、親族の協力が得られる場合はよいですが、事案によっては数か月以上かかることもあります。

パーソナル法務事務所では、そんな悩める大家さんをサポートするべく、迅速に亡くなられた賃借人の相続人調査をいたします。大阪だけでなく京都、神戸、奈良、和歌山からも広くご相談を受け付けております。

相続財産の清算処理

job_ooya戸籍調査等で相続人が判明した場合、賃貸借契約を終了させるには、相続人全員に対して解除の意思表示をする必要があります。(民法544条1項、最高裁S36.12.22)
その時点で賃料がある程度滞納となっていることが多いと思われるので、敷金から滞納賃料を控除しても賃借人に返還すべきものがない状況であれば、催告及び解除の通知により終了させることも考えられます。しかし、一方的意思表示による場合、家賃の滞納があっても信頼関係の破壊がなければ解除権を行使できないという判例法理や、残存動産類の処分の問題で、後で争いになる可能性があります。

よって、あらためて相続人全員と合意解除の書面を交わしておくべきです。具体的には、相続人全員から、合意解除の同意書を取得しておくのがですがその同意書の中で、敷金の処理、残存動産類の処理(賃貸人において処分する等)は明確にしておくべきです。

行旅病人及行旅死亡人取扱法

個人情報の保護に関する法律

例えば、身元不明の患者の携帯から緊急に親族などの身内に連絡を取る必要があるとき、本人の生命に危険が及ぶような場合であれば、個人情報保護法の利用目的の適応除外規定に該当します。

さらに身分証明書をまったく持っていない、携帯電話等連絡先手段も持っていない、そのような時は市町村の行旅病人担当課へ連絡し「行旅病人及行旅死亡人取扱法」に基づいて対応することとなります。

個人情報の保護に関する法律

(利用目的による制限)

  • 第十六条 個人情報取扱事業者は、あらかじめ本人の同意を得ないで、前条の規定により特定された利用目的の達成に必要な範囲を超えて、個人情報を取り扱ってはならない。
  • 2 個人情報取扱事業者は、合併その他の事由により他の個人情報取扱事業者から事業を承継することに伴って個人情報を取得した場合は、あらかじめ本人の同意を得ないで、承継前における当該個人情報の利用目的の達成に必要な範囲を超えて、当該個人情報を取り扱ってはならない。
  • 3 前二項の規定は、次に掲げる場合については、適用しない。

    一 法令に基づく場合。
    二 人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき。
    三 公衆衛生の向上又は児童の健全な育成の推進のために特に必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき。
    四 国の機関若しくは地方公共団体又はその委託を受けた者が法令の定める事務を遂行することに対して協力する必要がある場合であって、本人の同意を得ることにより当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるとき。

行旅病人及行旅死亡人取扱法

行旅病人及行旅死亡人取扱法(こうりょびょうにん および こうりょしぼうにん とりあつかいほう)は、行旅人が病気や死亡をした場合に所在地の市町村が救護するべきことなどを定める明治32年3月28日公布された現行法です。

行旅死亡人は「行旅病人及行旅死亡人取扱法」、身元のわかる遺体は「墓地、埋葬等に関する法律」(墓地埋葬法)が適用されます。

行旅病人及行旅死亡人取扱法第1条2項

  • 住所、居所もしくは氏名が知れず、かつ、引取る者がいない死亡人は行旅死亡人とみなす

住居にて発見された遺体(いわゆる孤独死)や、遺留品中に身分証明書があった場合でも、本人と断定することができなければ、行旅死亡人として取り扱われます。

行旅病人及行旅死亡人取扱法第7条

  • 行旅死亡人がいるときはその所在地の市町村が、その状況や容貌、遺留物件などの本人の認識に必要な事項を記録した後で、その遺体の火葬、埋葬をしなければならない

墓地または火葬場の管理者はこの火葬や埋葬を拒むことができないとされています。

行旅病人及行旅死亡人取扱法第9条

  • 行旅死亡人の本人の認識に必要な事項を官報等に公告しなければならない

行旅死亡人は該当する法律である行旅病人及行旅死亡人取扱法により、死亡推定日時や発見された場所、所持品や外見などの特徴などが市町村長名義にて、詳細に官報に公告して掲載されます。
行旅死亡人となると地方自治体が遺体を火葬し遺骨として保存、官報の公告で引き取り手を待つ事となります。

行旅病人及行旅死亡人取扱法と墓地埋葬法に基づく行政の対応

  • 行旅病人の救護(病院への通院・入院等)
  • 行旅死亡人及び葬祭執行者がいない死亡人の葬祭の執行

身元のわかる遺体の取り扱い

自治体は墓地埋葬法の規定に基づいて対応します。

墓地埋葬法9条

  • 死体の埋葬又は火葬を行う者がないとき又は判明しないときは、死亡地の市町村長が、これを行わなければならない。
  • 二 前項の規定により埋葬又は火葬を行つたときは、その費用に関しては、行旅病人及び行旅死亡人取扱法(明治三十二年法律第九十三号)の規定を準用する。

墓地埋葬法3条

  • 埋葬又は火葬は、他の法令に別段の定があるものを除く外、死亡又は死産後二十四時間を経過した後でなければ、これを行つてはならない。但し、妊娠七箇月に満たない死産のときは、この限りでない。

墓地埋葬法4条

  • 埋葬又は焼骨の埋蔵は、墓地以外の区域に、これを行つてはならない。
  • 火葬は、火葬場以外の施設でこれを行つてはならない。

墓地埋葬法21条1号

  • 左の各号の一に該当する者は、これを千円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

    一 第三条、第四条、第五条第一項又は第十二条から第十七条までの規定に違反した者
    二 第十八条の規定による当該職員の立入検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者、又は同条の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をした者

身元不明の患者への対応

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身元不明の患者が危篤状態のとき、家族への連絡手順

1.本人の携帯電話などから連絡先を探します。
(個人情報であるが、緊急事態であるので個人情報保護法の利用目的の適用除外項目にあたり問題はないです。)
2.警察へ連絡し協力を依頼(事件性の確認)し、市町村の福祉課にて対応して頂きます。(親族の捜索も市町村役場にて行います。)

身元不明の患者が入院費用が未払いのままで死亡した場合

1.とりあえず身寄りの無い方として病院長が届出人として市区町村に死亡届けを提出することになります。
2.同時に申請されれば、葬祭を行われた方(病院等の施設長、自治会長、民生委員等)に葬祭費が支給されます。
3.申請時、喪主様のわかる書類(領収書、会葬礼状など)が必要です。

身元不明人が死亡した場合の多くは、死亡後の遺体への早急な対応があるため、身寄りの無い方として行旅病人及行旅死亡人取扱法に準じた処理が市区町村と協議され処理されているようです。

相続財産法人による清算

もし相続人が誰もいなかった(相続人が全員相続放棄した)場合は、相続財産管理人の選任を申し立てて、同管理人から弁済を受けることになります。

行旅病人及行旅死亡人取扱法による清算

行旅病人及行旅死亡人取扱法に基づき、市区町村が身元判明まで入院費用を立て替え払いします。

  • 行旅病人の場合は、同居の家族、職業、住所などを聞き、支払い能力があるかどうかを調べます。
  • 行旅死亡人であれば、遺留品から活用できるものがないか調べます。
  • 今回の事件の請求をします。本人に支払が出来ないときは親族に請求します。
  • 行旅病人及行旅死亡人取扱法に基づき、所在地の市区町村が身元判明まで入院費用等を立て替えます。
  • 親族がいなければ、市区町村は都道府県費用を請求します。
  • 親族がいても支払い拒絶が正当な理由であれば、市区町村は都道府県に費用を請求します。

本人や親族に費用を請求してはみるものの、実際には費用弁償をきちっと行ってくれることは稀で、というかほとんど無いのが現実です。そのため、結局は都道府県の負担となってしまいます
行旅死亡人については、葬儀も行って火葬をし遺骨もあるのだが、基本的に親族がその遺骨の引き取りを拒否するケースが多く、「生前から付き合いがなかった」とか、「借金など様々な面で迷惑を掛けられて縁を切った」とか、そういった話を聞かされることがよくあるようです。
とはいえ、遺骨は埋葬しなければならないので最終手段として無縁仏として無縁墓地に葬られることになります。

医師法

医師法1条

  • 医師は、医療及び保健指導を掌ることによつて公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もつて国民の健康な生活を確保するものとする。

このように国民の保健上極めて重要な役割を担う医師については、医師の任務・免許・試験・臨床研修・業務・医師試験委員・罰則などについて、医師法という法律で規定しています。

医師法24条

  • 医師は、診療をしたときは、遅滞なく診療に関する事項を診療録に記載しなければならない。
  • ニ 前項の診療録であつて、病院又は診療所に勤務する医師のした診療に関するものは、その病院又は診療所の管理者において、その他の診療に関するものは、その医師において、五年間これを保存しなければならない。

医師法には守秘義務を直接規定していませんが、情報を適切に管理することが求められています。
守秘義務としては刑法に以下の定めがあります。

刑法134条1項

  • 医師、薬剤師、医薬品販売業者、助産師、弁護士、弁護人、公証人又はこれらの職にあった者が、正当な理由がないのに、その業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたときは、6月以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

刑法135条(親告罪)

  • この章の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。

適切な医療を施すためには患者からの通常は人に知られたくないような事実の開示が不可欠ですが、そのためには開示した事実が医師から他に漏らされることがないという医師に対する信頼が必要であることから医師には、守秘義務が課せられています。

医師法21条

  • 医師は、死体又は妊娠4月以上の死産児を検案して異状があると認めたときは、24時間以内に所轄警察署に届け出なければならない。

医師法には、届出義務が規定されています。
この届け出るべき「異状死」とは何かについて、日本法医学会は平成6年5月に「異状死ガイドライン」を作成ました。

異状死ガイドライン

  • 異状死体を「確実に診断された内因性疾患で死亡したことが明らかである死体以外の全ての死体」と定義

上記のように、医師法では守秘義務・届出義務が課せられ、これに違反した医師には、罰則が規定されています。

医師法33条2項1号

  • 次の各号のいずれかに該当する者は、五十万円以下の罰金に処する。

    第六条第三項、第十八条、第二十条から第二十二条まで又は第二十四条の規定に違反した者

最後に医療関係者向けの検索サイトとして、鹿児島県地域医療・福祉情報サイトに身寄りのいない人の支援内容(死亡時など) にも詳しく記載されていました。

身寄りのない方の相続

身寄りのない方の相続

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身寄りのない方が亡くなった場合や相続人全員が相続放棄する場合など、相続人の不存在の疑いがある場合や相続人がいない場合、相続財産を管理し相続人の不存在が明らかとなれば相続財産を清算し、最終的な帰属を決める必要があります。

そのため亡くなられた方の財産は「相続財産法人」という一つのまとまりになって、管理され清算されていくことになります。(民法951条)

相続財産法人の設立

相続財産法人は、相続人の存在が明らかでないときに、特段の手続を要さずに成立します。

相続財産管理人の選任

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その亡くなられた方の財産の管理や清算を誰がするのかというと、相続の利害関係人か検察官が申し立てを行い、家庭裁判所が相続財産管理人を選任することとなります。

この利害関係人とは、相続債権者、特定受遺者、相続債務者のほか、被相続人に対して何らかの請求権を持つ者が該当します。

利害関係人は家庭裁判所に、推薦と言う形で相続管理人を選任請求することもできますが、家庭裁判所はそれを無視して適任者を選ぶ場合もあります。

家庭裁判所は、相続財産管理人を選任したときは、遅滞なく官報によって公告します。(民法952条2項)

相続債権者及び受遺者に対する弁済

そして2ヶ月以内に相続人が現れなかったときには清算手続きを行い、2ヶ月以上の期間を定めて、相続債権者と受遺者に対する公告を行います。(民法957条)

相続人捜索の公告

それでも相続人が現れないときは、家庭裁判所は6ヶ月以上の期間を定めて、あらためて相続人捜索の広告をします。(民法958条)
この期間までに相続人が現れないときは、相続人は相続する権利を失います。(民法958条の2)

特別縁故者に対する財産分与

相続財産管理人は相続財産の管理・処分を行いますが、特別縁故者がいれば家庭裁判所の許可を得て相続財産を分与して、残った残余の相続財産は、国庫に帰属することになります。

特別縁故者

特別縁故者とは、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者、その他被相続人と特別の縁故があった者を指しますので、内縁の妻や夫などがその例です。

単に家族と疎遠になっている場合は、通常の相続と同じ手続きとなります。

関連するコラム

  • 身元不明の患者の対応として、個人情報保護法との問題、行旅病人及行旅死亡人取扱法や医師法についても記載しています。» くわしくはコチラ

年間110万円までの贈与は得なのか?

年間110万円までの贈与の検証

相続人は子供1人で相続財産4億5千万円の場合において、10年間・毎年100万円贈与した場合と毎年1,000万円贈与したあと、3年後に相続が発生した場合における贈与税と相続税の合計額を比較検証してみます。

毎年100万円贈与した場合と毎年1,000万円贈与した場合の贈与税額

年数 100万円/年
贈与した場合
100万円/年
贈与時の贈与税
1,000万円/年
贈与した場合
1,000万円/年
贈与時の贈与税
1年目 100万円 0円 1,000万円 177万円
2年目 100万円 0円 1,000万円 177万円
3年目 100万円 0円 1,000万円 177万円
4年目 100万円 0円 1,000万円 177万円
5年目 100万円 0円 1,000万円 177万円
6年目 100万円 0円 1,000万円 177万円
7年目 100万円 0円 1,000万円 177万円
8年目 100万円 0円 1,000万円 177万円
9年目 100万円 0円 1,000万円 177万円
10年目 100万円 0円 1,000万円 177万円
3年後相続開始
時の合計額
1,000万円 0円 10,000万円 1,770万円
  • 毎年100万円した場合の総贈与税→→0万円
  • 毎年1,000万円した場合の総贈与税→→1,770万円

10年間・毎年100万円贈与した場合と毎年1,000万円贈与したあと、3年後に相続が発生した場合の相続税額

相続人は子供1人で、相続財産4億5千万円の場合の基礎控除額は、3,000+600=3,600万円となります。

相続財産3億円超~6億円以下の相続税の税率と控除額

税率 控除額
概要 50% 4,200万円

毎年100万円贈与した場合の相続税額

総課税価格=遺産総額-贈与額=45,000-1,000=44,000万円
相続税額=(総課税価格-基礎控除額)×税率-控除額=(44,000-3,600)×50/100-4,200=16,000万円

毎年1,000万円贈与した場合の相続税額

総課税価格=遺産総額-贈与額=45,000-10,000=35,000万円
相続税額=(総課税価格-基礎控除額)×税率-控除額=(35,000-3,600)×50/100-4,200=11,500万円

  • 毎年100万円した場合の相続税額→→16,000万円
  • 毎年1,000万円した場合の相続税額→→11,500万円

年間110万円までの贈与が有利とは限らない!

10年間・毎年100万円贈与した場合と毎年1,000万円贈与したあと、3年後に相続が発生した場合の贈与税と相続税の合計額

  • 毎年100万円した場合の税額合計=相続税額+贈与税額=16,000+0=16,000万円
  • 毎年1,000万円した場合の税額合計=相続税額+贈与税額=11,500+1,770=13,270万円

上記の検証より、年間110万円までの贈与が必ずしも有利とは限りません。
相続税の適用税率に応じた適切な贈与をすることが重要です!

平成27年施行の相続税改正

平成27年1月1日以降開始の相続から、相続税が増税となりました。
ここでは大きく改正されたポイントによって、どれくらい増税になるのかを検証します。

基礎控除額の改正

改正前 改正後
概要 5,000万円+(1,000万円×法定相続人の数) 3,000万円+(600万円×法定相続人の数)

例:親が死亡し法定相続人が子供2人で、相続財産の合計が5,000万円の場合

改正前の基礎控除の計算方法

  • 基礎控除の金額 5,000万円+1,000万円×2 = 7,000万円
  • 相続財産5,000万円 < 基礎控除額7,000万円

    ⇒基礎控除が相続財産を上回るので相続税の納税なし。

改正後の基礎控除の計算方法

  • 基礎控除の金額 3,000万円+600万円×2 = 4,200万円
  • 相続財産5,000万円 > 基礎控除額4,200万円

    ⇒相続財産が基礎控除を上回るので相続税の納税が発生。

税率の改正

概要 改正前 改正後
1000万
円以下
10%(控除額 0万円) 10%(控除額 0万円)
3000万
円以下
15%(控除額 50万円) 15%(控除額 50万円)
5000万
円以下
20%(控除額 200万円) 20%(控除額 200万円)
1億円
以下
30%(控除額 700万円) 30%(控除額 700万円)
2億円
以下
40%(控除額 1,700万円) 40%(控除額 1,700万円)
3億円
以下
40%(控除額 1,700万円) 45%(控除額 2,700万円)
6億円
以下
50%(控除額 4,700万円) 50%(控除額 4,200万円)
6億円
50%(控除額 4,700万円) 55%(控除額 7,200万円)

各法定相続人の所得金額が2億円超から3億円以下の部分は40%から45%へ引き上げられ、6億円超の部分は50%から55%へ引き上げられました。

相続税の増加額

さて上記の基礎控除額の改正と税率の改正により、どれくらい増税になるのかを検証します。
例:親が死亡し法定相続人が子供2人で、相続財産の合計が50,000万円の場合

改正前の相続税の総額の計算方法

  • 基礎控除の金額= 5,000万円+1,000万円×2= 7,000万円
  • 課税遺産額= 50,000万円-7,000万円= 43,000円
  • 子供1人の法定相続分= 43,000万円÷2= 21,500万円

    この時の税率40%、控除額は1,700万円

  • 子供1人の相続税= 21,500万円×40/100-1,700万円= 6,900万円
  • 相続税の総額= 6,900万円×2= 13,800万円

改正後の相続税の総額の計算方法

  • 基礎控除の金額= 3,000万円+600万円×2= 4,200万円
  • 課税遺産額= 50,000万円-4,200万円= 45,800円
  • 子供1人の法定相続分= 45,800万円÷2= 22,900万円

    この時の税率45%、控除額は2,700万円

  • 子供1人の相続税= 22,900万円×45/100-2,700万円= 7,605万円
  • 相続税の総額= 7,605万円×2= 15,210万円

上記より親が死亡し法定相続人が子供2人で、相続財産の合計が50,000万円の場合、改正後15,210万円-改正前13,800万円=1,410万円の増税となることが分かります。

改正後の相続財産による増加額例

課税価格 相続税
改正前 現行 差額
5,000万円 0円 80万円 80万円
1億円 350万円 770万円 420万円
3億円 5,800万円 6,920万円 1,120万円
5億円 1億3,800万円 1億5,210万円 1,410万円
10億円 3億7,100万円 3億9,500万円 2,400万円

贈与契約と暦年贈与信託

贈与の定義

贈与(民法549条)

  • 贈与は、当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる。

    片務・諾成・無償の契約

贈与は片務契約であり、同時履行の抗弁権(民法533条)などの双務契約に関する適用はありません。
贈与は諾成契約なので、口約束でも有効となりますが、「書面によらない贈与」は当事者はいつでも履行されていない部分のみ撤回が可能となります。
撤回により契約は遡及的に無効となります。

暦年贈与信託

暦年贈与信託契約の場合、贈与者から「贈与の依頼書」を提出して頂くことで「書面による贈与」となり贈与者の方から一方的に撤回することができなくなります。
また受贈者から「受贈の確認書」を頂くことで、「片務契約」として有効となります。

暦年贈与信託の特長に「贈与契約書の作成や振り込みなどの、面倒な贈与手続きは不要」と記載されたりしているものがありますが、実は見て頂くとわかるとおり簡易的に手続きを踏んでいる形になっています。

  • 同時履行の抗弁(民法533条)

    双務契約の当事者の一方は、相手方がその債務の履行を提供するまでは、自己の債務の履行を拒むことができる。ただし、相手方の債務が弁済期にないときは、この限りでない。

連年贈与と暦年贈与信託

連年贈与の怪

国税庁のタックスアンサー

ずいぶん前のことですが、毎年定期的に贈与(連年贈与)し続けると遡って贈与税が課税されるような事を税理士さんに聞いたことがありました。
その元ネタは、国税庁のタックスアンサーだったようです。

  • Q1「毎年、子に100万円ずつ10年間にわたって贈与することとしましたが、1年間では基礎控除額である110万円以下となるため、贈与税の申告納税は不要ですか。」

    A1「1年ごとに贈与を受けると考えるのではなく、契約をした年分に、有期定期金に関する権利(10年間にわたり毎年100万円ずつの給付を受ける権利)の贈与を受けたものとして贈与税の申告が必要となります。」(相法24、相基通24-1)
    国税庁のタックスアンサー

有期定期金に対する贈与と判断されると

平成26年から5年間、毎年4月1日に100万円ずつ贈与していた場合を例としてみてみます。

    • 単年度で見ると

基礎控除【110万円以下】なので、贈与税なし。

    • 有期定期金の贈与

平成26年4月1日に500万円の贈与契約があり、それの5年間の分割払いと判断されると、
有期定期金500万円に対する贈与税として、平成26年に一括で53万円の支払いとなる。

このように有期定期金と判断されないように、毎年贈与系契約を作成しましょう!

以前に税理士さんからは、連年贈与に見られないように毎年贈与額を変更するか、時々110万円を超えて申告して下さいとアドバイスされましたが、例えば行政書士に毎年贈与契約書を作成して頂き、双方の署名押印とその行政書士による検印等で証書を残し、かつ現実に銀行振り込みで証拠を残す方が確実かと思います。

最近の金融機関の商品

ここで最近の金融機関の商品を調べてみると、贈与手続きを代行して年間110万円までの贈与税の非課税枠を利用した商品が提供されていました。

暦年贈与信託「おくるしあわせ」(三菱UFJ信託銀行)

  • 贈与契約書の作成や振り込みなどの、面倒な贈与手続きは不要。(※1)
  • 贈与取引の記録が残ります。複数の方への贈与や複数年にわたる贈与などの場合も安心です。(※2)
  • 毎年当社からお知らせするので、贈与の機会を忘れることはありません。
  • 元本保証:元本に万一欠損が生じた場合も当社が補てんします。
  • 管理手数料無料:ご契約時やご契約後の管理手数料は無料です。

    暦年贈与信託「おくるしあわせ」

この商品の特徴を見てみると、前述の「連年贈与は贈与税が遡って課税」される話は?と不思議に思って調べてみました。

連年贈与対策

調べていくと、国税庁のタックスアンサーに書いていた話を誤って解釈した人達が「連年贈与は贈与税が遡って課税」のフレーズを一人歩きさせていた!?と言う内容の記事が目に入ってきました。

塩川税理士事務所の連年贈与の誤解(なぜ皆が間違えているんだろう)
» くわしくはコチラ

さらに読んでみると「毎年の判断で法的に有効な贈与を行えば、結果的に同時期同額であってもその都度の贈与契約となるのでこれを連年贈与として課税されることはない」という事が書かれていました。

  • 毎年の判断

    毎年贈与契約をする。(※3)

  • 有効な贈与

    贈与契約書を作成して双方が署名捺印を行う。(※4)
    受贈者が、贈与財産を管理する。

確かにこれらの連続贈与対策についても、かつて税理士さんに同じようなアドバイスを受けた事がありました。
ここで改めて上記の暦年贈与信託の特長の※1の「贈与契約書の作成は不要」という点に注目すると、連年贈与対策として有効だと言われていた※3の「毎年贈与契約する」、※4の「贈与契約書を作成する」と言った手法は、実は不要だったのでは?と言う新たな疑問が出てきました。
もちろん※2により、暦年である契約には間違いはありません。
前述の「国税庁のタックスアンサー」の例と何が違うのでしょうか?

暦年贈与信託

三菱UFJ信託銀行「おくるしあわせ」の専用窓口に問い合わせてみたところ、次の事が分かりました。

  • 毎年の判断

    毎年贈与する方に「贈与の依頼書」にて贈与したい方と贈与額を確認を行う。

  • 有効な贈与

    贈与を受ける方から「受贈の確認書」を頂く。
    受贈者が、贈与財産を管理する。

暦年贈与信託は、贈与する側の口座から贈与を受ける口座へ財産贈与する手続きを、第3者である信託銀行が手助けをしているといった商品であることが分かります。

また暦年贈与信託の「おくるしあわせ」の<本商品における税務上のご留意事項>に「贈与する方と贈与を受ける方との間であらかじめ約束されている場合は、贈与税の申告が必要となります。」と記載されているとおり、贈与者と受贈者の間で予め契約等を交わさない事が重要です。
連年贈与として扱われない重要なポイントとなります。

暦年贈与信託は、信託銀行である第3者を介在させて、毎年贈与者と贈与額を決め、受贈者に確認し、通帳等で贈与の記録が残るようにし、贈与者と受贈者の間で予め贈与契約をしていなければ、連年贈与と受けれらにくい工夫している商品というがわかります。

さらに税理士法人の見解と東京国税局の回答も得るあたり、流石だと感じました。

ただ私は信託銀行を使わなくても、似たような仕組みは個々の事例に合わせて対応できるのかと考えています。
その仕組みは、後日の機会にでもアップしたいと思います。

※この内容は平成26年2月現在のもので、今後の税制改正や今後確定する法令や通達等により、異なる課税関係が生ずることがあります。
※行政書士である私は一般的な税務の話しか出来ませんので、個別の具体的な税務上の取り扱いの詳細は、相続税に詳しい税理士さんや所轄税務署などにご確認ください。

行政書士を英訳すると

「行政書士」の英訳として何がいいのか、ホームページや名刺を作る際に気になったので調べてみました。

Administrative scrivener

Googleで「行政書士 英訳」を検索すると「Administrative scrivener」と表記されました。
Administrative=「行政上の」、scrivener=「代書人」という意味で、行政書士に代理権が付与されていなかった時代ならば、この表記がピッタリでしたが、特定行政書士元年である今年(2016年)は「代書屋」だった時代からは生まれ変わるときだと思います。

Certified Administrative Procedures Legal Specialist

ウィキペディアでは「Certified Administrative Procedures Legal Specialist」と表記されていました。
Certified=「公認の」、Administrative=「行政上の」、Procedures=「手続き」、Legal=「法律に関する」、Specialist=「専門家」いう意味で、法務省が進めている日本法令外国語訳として2013年9月から行政書士を表記しているようです。

かなり長いフレーズですが、このフレーズからAdministrativeの単語が無いとすると、法律に関する手続きの専門家といった意味となり「行政」書士らしからぬ感じとなります。ただProceduresの単語であえて「手続き」の専門家を強調する必要もない気がしますが、行政書士会の各支部で英文表記として使用されているようです。

Gyoseishoshi Lawyer

日行連では平成16年度から「日本行政」で使用してきたようです。
Gyoseishoshi=「行政書士」、Lawyer=「法律家」という意味ですが、行政書士をローマ字表記としたことで英文として伝わりにくいかと思います。

Administrative Lawyer

Administrative=「行政上の」、Lawyer=「法律家」という意味で、Lawyerを広く法律家としてとらえるのなら意味が伝わりやすく短くてイイ感じがします。

Administrative Solicitor

ohno

TBSの「特上カバチ」という行政書士を題材した番組の中に出てくる大野行政書士事務所の扉のガラスにAdministrative Solicitorと記載されていました。
(※画像は切り取って加工しない条件でTBSに使用願中です。)

kabachi

米国でもイギリスやアイルランドと同様、弁護士が”barrister”(法廷弁護士)と“solicitor”(事務弁護士)とに区別されていたようですが、”barrister”と“solicitor”の区別は米国では19世紀後半頃に廃止されていて、現在米国では”barrister”(法廷弁護士)や“solicitor”(事務弁護士)という職業は存在していないようです。

当事務所名の英文表記

今年(2016年)は「特定行政書士」元年でもあり、業務によっては仕事の性質上類似する面があり伝わりやすい気がします。
私が行政書士資格を取得するときに励みに見ていた番組でもあり、その後に講演を聞かせてもらった事もあってすごく馴染みが深く、このフレーズを使わせて頂きたく思いました。
そして今後の行政書士の社会的地位の確立と職域拡大を念願して、”Administrative-Solicitor”と「造語」で表記することにしました。
いろいろなご意見があるかと思いますが、どうぞ暖かい目で見守り下さい。

ホームページをリニューアルしました

行政書士パーソナル事務所の遺言法務.com(ゆいごんほうむドットコム)のサイトへアクセス頂き誠にありがとうございます。
以前にhtts化したホームページがWordpressとプラグインのバージョンアップに伴い、アクセス不能となったため、改めて本日20020年7月9日に当事務所のホームページをリニューアルしました。
これを機会に皆さまにとって使いやすく見やすいホームページとなるよう、サイト構成など刷新して運用していきます。
今後とも、何卒宜しくお願い申し上げます。