行旅病人及行旅死亡人取扱法

個人情報の保護に関する法律

例えば、身元不明の患者の携帯から緊急に親族などの身内に連絡を取る必要があるとき、本人の生命に危険が及ぶような場合であれば、個人情報保護法の利用目的の適応除外規定に該当します。

さらに身分証明書をまったく持っていない、携帯電話等連絡先手段も持っていない、そのような時は市町村の行旅病人担当課へ連絡し「行旅病人及行旅死亡人取扱法」に基づいて対応することとなります。

個人情報の保護に関する法律

(利用目的による制限)

  • 第十六条 個人情報取扱事業者は、あらかじめ本人の同意を得ないで、前条の規定により特定された利用目的の達成に必要な範囲を超えて、個人情報を取り扱ってはならない。
  • 2 個人情報取扱事業者は、合併その他の事由により他の個人情報取扱事業者から事業を承継することに伴って個人情報を取得した場合は、あらかじめ本人の同意を得ないで、承継前における当該個人情報の利用目的の達成に必要な範囲を超えて、当該個人情報を取り扱ってはならない。
  • 3 前二項の規定は、次に掲げる場合については、適用しない。

    一 法令に基づく場合。
    二 人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき。
    三 公衆衛生の向上又は児童の健全な育成の推進のために特に必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき。
    四 国の機関若しくは地方公共団体又はその委託を受けた者が法令の定める事務を遂行することに対して協力する必要がある場合であって、本人の同意を得ることにより当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるとき。

行旅病人及行旅死亡人取扱法

行旅病人及行旅死亡人取扱法(こうりょびょうにん および こうりょしぼうにん とりあつかいほう)は、行旅人が病気や死亡をした場合に所在地の市町村が救護するべきことなどを定める明治32年3月28日公布された現行法です。

行旅死亡人は「行旅病人及行旅死亡人取扱法」、身元のわかる遺体は「墓地、埋葬等に関する法律」(墓地埋葬法)が適用されます。

行旅病人及行旅死亡人取扱法第1条2項

  • 住所、居所もしくは氏名が知れず、かつ、引取る者がいない死亡人は行旅死亡人とみなす

住居にて発見された遺体(いわゆる孤独死)や、遺留品中に身分証明書があった場合でも、本人と断定することができなければ、行旅死亡人として取り扱われます。

行旅病人及行旅死亡人取扱法第7条

  • 行旅死亡人がいるときはその所在地の市町村が、その状況や容貌、遺留物件などの本人の認識に必要な事項を記録した後で、その遺体の火葬、埋葬をしなければならない

墓地または火葬場の管理者はこの火葬や埋葬を拒むことができないとされています。

行旅病人及行旅死亡人取扱法第9条

  • 行旅死亡人の本人の認識に必要な事項を官報等に公告しなければならない

行旅死亡人は該当する法律である行旅病人及行旅死亡人取扱法により、死亡推定日時や発見された場所、所持品や外見などの特徴などが市町村長名義にて、詳細に官報に公告して掲載されます。
行旅死亡人となると地方自治体が遺体を火葬し遺骨として保存、官報の公告で引き取り手を待つ事となります。

行旅病人及行旅死亡人取扱法と墓地埋葬法に基づく行政の対応

  • 行旅病人の救護(病院への通院・入院等)
  • 行旅死亡人及び葬祭執行者がいない死亡人の葬祭の執行

身元のわかる遺体の取り扱い

自治体は墓地埋葬法の規定に基づいて対応します。

墓地埋葬法9条

  • 死体の埋葬又は火葬を行う者がないとき又は判明しないときは、死亡地の市町村長が、これを行わなければならない。
  • 二 前項の規定により埋葬又は火葬を行つたときは、その費用に関しては、行旅病人及び行旅死亡人取扱法(明治三十二年法律第九十三号)の規定を準用する。

墓地埋葬法3条

  • 埋葬又は火葬は、他の法令に別段の定があるものを除く外、死亡又は死産後二十四時間を経過した後でなければ、これを行つてはならない。但し、妊娠七箇月に満たない死産のときは、この限りでない。

墓地埋葬法4条

  • 埋葬又は焼骨の埋蔵は、墓地以外の区域に、これを行つてはならない。
  • 火葬は、火葬場以外の施設でこれを行つてはならない。

墓地埋葬法21条1号

  • 左の各号の一に該当する者は、これを千円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

    一 第三条、第四条、第五条第一項又は第十二条から第十七条までの規定に違反した者
    二 第十八条の規定による当該職員の立入検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者、又は同条の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をした者

身元不明の患者への対応

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身元不明の患者が危篤状態のとき、家族への連絡手順

1.本人の携帯電話などから連絡先を探します。
(個人情報であるが、緊急事態であるので個人情報保護法の利用目的の適用除外項目にあたり問題はないです。)
2.警察へ連絡し協力を依頼(事件性の確認)し、市町村の福祉課にて対応して頂きます。(親族の捜索も市町村役場にて行います。)

身元不明の患者が入院費用が未払いのままで死亡した場合

1.とりあえず身寄りの無い方として病院長が届出人として市区町村に死亡届けを提出することになります。
2.同時に申請されれば、葬祭を行われた方(病院等の施設長、自治会長、民生委員等)に葬祭費が支給されます。
3.申請時、喪主様のわかる書類(領収書、会葬礼状など)が必要です。

身元不明人が死亡した場合の多くは、死亡後の遺体への早急な対応があるため、身寄りの無い方として行旅病人及行旅死亡人取扱法に準じた処理が市区町村と協議され処理されているようです。

相続財産法人による清算

もし相続人が誰もいなかった(相続人が全員相続放棄した)場合は、相続財産管理人の選任を申し立てて、同管理人から弁済を受けることになります。

行旅病人及行旅死亡人取扱法による清算

行旅病人及行旅死亡人取扱法に基づき、市区町村が身元判明まで入院費用を立て替え払いします。

  • 行旅病人の場合は、同居の家族、職業、住所などを聞き、支払い能力があるかどうかを調べます。
  • 行旅死亡人であれば、遺留品から活用できるものがないか調べます。
  • 今回の事件の請求をします。本人に支払が出来ないときは親族に請求します。
  • 行旅病人及行旅死亡人取扱法に基づき、所在地の市区町村が身元判明まで入院費用等を立て替えます。
  • 親族がいなければ、市区町村は都道府県費用を請求します。
  • 親族がいても支払い拒絶が正当な理由であれば、市区町村は都道府県に費用を請求します。

本人や親族に費用を請求してはみるものの、実際には費用弁償をきちっと行ってくれることは稀で、というかほとんど無いのが現実です。そのため、結局は都道府県の負担となってしまいます
行旅死亡人については、葬儀も行って火葬をし遺骨もあるのだが、基本的に親族がその遺骨の引き取りを拒否するケースが多く、「生前から付き合いがなかった」とか、「借金など様々な面で迷惑を掛けられて縁を切った」とか、そういった話を聞かされることがよくあるようです。
とはいえ、遺骨は埋葬しなければならないので最終手段として無縁仏として無縁墓地に葬られることになります。

医師法

医師法1条

  • 医師は、医療及び保健指導を掌ることによつて公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もつて国民の健康な生活を確保するものとする。

このように国民の保健上極めて重要な役割を担う医師については、医師の任務・免許・試験・臨床研修・業務・医師試験委員・罰則などについて、医師法という法律で規定しています。

医師法24条

  • 医師は、診療をしたときは、遅滞なく診療に関する事項を診療録に記載しなければならない。
  • ニ 前項の診療録であつて、病院又は診療所に勤務する医師のした診療に関するものは、その病院又は診療所の管理者において、その他の診療に関するものは、その医師において、五年間これを保存しなければならない。

医師法には守秘義務を直接規定していませんが、情報を適切に管理することが求められています。
守秘義務としては刑法に以下の定めがあります。

刑法134条1項

  • 医師、薬剤師、医薬品販売業者、助産師、弁護士、弁護人、公証人又はこれらの職にあった者が、正当な理由がないのに、その業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたときは、6月以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

刑法135条(親告罪)

  • この章の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。

適切な医療を施すためには患者からの通常は人に知られたくないような事実の開示が不可欠ですが、そのためには開示した事実が医師から他に漏らされることがないという医師に対する信頼が必要であることから医師には、守秘義務が課せられています。

医師法21条

  • 医師は、死体又は妊娠4月以上の死産児を検案して異状があると認めたときは、24時間以内に所轄警察署に届け出なければならない。

医師法には、届出義務が規定されています。
この届け出るべき「異状死」とは何かについて、日本法医学会は平成6年5月に「異状死ガイドライン」を作成ました。

異状死ガイドライン

  • 異状死体を「確実に診断された内因性疾患で死亡したことが明らかである死体以外の全ての死体」と定義

上記のように、医師法では守秘義務・届出義務が課せられ、これに違反した医師には、罰則が規定されています。

医師法33条2項1号

  • 次の各号のいずれかに該当する者は、五十万円以下の罰金に処する。

    第六条第三項、第十八条、第二十条から第二十二条まで又は第二十四条の規定に違反した者

最後に医療関係者向けの検索サイトとして、鹿児島県地域医療・福祉情報サイトに身寄りのいない人の支援内容(死亡時など) にも詳しく記載されていました。

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