不動産の財産評価

不動産の財産評価

相続財産の中で大きなウェートを占める場合が多い不動産の財産評価について確認します。
遺産分割協議とかで各相続人の相続分に応じて公平に分配するためには、相続不動産の価値を評価する必要があります。

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遺産分割をするうえでの、相続不動産の価格は「実勢価格」、評価の時点は「遺産分割時」となります。ただ特別受益や寄与分が問題となる場合においては、「相続開始時」が基準となります。

1物4価

不動産に関する価格には売主と買主の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額としての実勢価格、国が定めた公的価格として、公示時価相続税路線価固定資産評価額があり、一つの土地には次の異なる4つの価格が成立するとされており、これを1物4価といいます。

  • 実勢価格(時価)
  • 公示地価
  • 相続税路線価
  • 固定資産税評価額

公示地価は正常な価格として国土交通省が公示する土地価格を指し、毎年1月1日時点における標準地の正常な価格を3月に公示され、一般の不動産取引価格目安や、公共収用される土地の目安となる価格としています。
相続税評価額は、国税庁が毎年1月1日時点の価格を7月に発表する土地価格を指し、相続税や贈与税の計算の際に利用する価格としています。
固定資産税評価額は、市区町村が毎年1月1日時点の価格を7月に発表する土地価格を指し、固定資産税や都市計画税の計算の際に利用される価格としています。

  • 実勢価格、公示地価、相続税路線価、固定資産税評価額の相互関係

    公示地価は実勢価格の90%となり、相続税路線価は実勢価格の70~80%・公示地価の80%、固定資産税評価額は実勢価格の60~70%・公示地価の70%といった価格で均衡化が図られています。

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遺産分割時における相続不動産の時価評価

相続、遺贈または贈与により所得した財産の価額は、相続税路線価ではなく、取得の時における不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる取引価額(実勢価格)で評価することが原則です。
そして、その財産の価額から控除すべき債務(住宅ローン)がある場合は、その時点のローン残高により課税価格は決まります。

相続税の課税価格

推定時価5,000万円の宅地の贈与を受けた場合、ここから住宅ローンの3,000万円と贈与税の基礎控除110万円を差し引くと、課税価格は1,890万円になります。

遺産分割時の評価額

相続人のうちの1人に相続によって共有状態になっている不動産を単独で相続させ、他の相続人は金銭による代償分割した場合、その相続財産の基礎となる不動産の評価額は時価でおこう事になります。
これを時価ではなく、相続税評価額や固定資産税評価額を元に評価され、遺産分割をした場合、代償分割された金額は多くの場合は過小に評価され、不公平に分配されることになります。
このように不動産については、不動産鑑定評価を活用されてるなりして適正な時価を求めれることが肝要です。

不動産の価額 想定時価に対する割合
遺産分割 公示地価 100%
相続税の納付 相続税路線価 80%
固定資産税の納付 固定資産税評価額 70%

相続税の評価方式

宅地の価額は、1画地の宅地(利用者の単位となっている1区画の宅地をいう)ごとに評価します。そして宅地及び宅地の上に存する権利の評価方式には、次の2つの方法があります。

路線価方式 倍率方式
概要 市街地的形態を形成する地域にある宅地(都会の方式) 市街地的形態を形成する地域にある宅地以外の宅地(田舎の方式)

路線価方式による評価

その宅地の面する路線に付された路線価を基とし、がけ地や間口が狭かったり、奥行きが長かったり使い勝手の悪い宅地に関しては、その宅地の形状に応じた調整を行った金額に地積を乗じて評価することになります。

評価額=路線価x地積(実際の地積)

路線価とは、位置、形状等がその路線に面する標準的な画地1㎡当たりの価額(単位:千円)として、国税局長が評定したものです。
評価しようとする宅地が標準的なものと異なる場合には、各種の調整率によってその路線価を修正することになります。

路線価方式による評価の修正

  • 一方のみが路線に接する宅地

    →路線価x奥行価格補正率x地積

  • 正面と側方に路線がある宅地

    →(正面路線価x奥行価格補正率+側方路線価x奥行価格補正率x側方路線影響加算率)x地積

  • 正面と裏面に路線がある宅地

    →(正面路線価x奥行価格補正率+側方路線価x奥行価格補正率x二方路線影響加算率)x地積

  • がけ地等

    →路線価x奥行価格補正率xがけ地補正率x地積

  • 正面と側方に路線があるがけ地

    →(正面路線価x奥行価格補正率+側方路線価x奥行価格補正率x側方路線影響加算率)xがけ地補正率x地積

  • 不整形地

    →路線価x奥行価格補正率x(1-不整形地としての減価割合(100分の40の範囲内))x地積

  • 間口が狭小な宅地

    →路線価x奥行価格補正率x間口狭小補正率x地積

  • 奥行が長大な宅地

    →路線価x奥行価格補正率x奥行長大補正率x地積

  • セットバックを必要とする宅地の評価

    →利用制限が無いものとして算定した路線額-セットバックの対象となっている部分に対応する価額x70%

  • 奥行が長大な宅地

    →路線価x奥行価格補正率x奥行長大補正率x地積

私道の場合の路線価方式による評価の修正

私道を利用している者 私道の評価額
宅地の所有者のみ 自用地としての価額
上記以外の特定の者 自用地としての価額x30/100
不特定多数の者 評価しない

倍率方式による評価

倍率方式は、固定資産税評価額に国税局長が一定の地域ごとに定める倍率に乗じて計算した金額によって評価方式です。

評価額=固定資産税評価額x倍率

固定資産税評価額は、土地課税台帳または土地補充課税台帳に登録されている基準年度の価額又は基準年度の価格に比準する価格をいい、地方税法等の特例措置によって固定資産税の税額計算の基礎とされる課税標準ではありません
また倍率方式では、固定資産税評価額が決定される際に宅地の形状等が考慮されているので、路線価方式のように各種の補正率は用いません

相続不動産の評価を確定するための方法

不動産は一つとして同じものはなく、その時価を算定することは簡単ではありません。究極的には市場に売りに出して、実際に売れるまで本当の時価はわかりません。出来るのは時価を推定することだけです。

さらに、相続人にもそれぞれの事情や感情、利害の対立がありますので、各相続人が自己の権利のみを主張すると、合意によって評価を確定することは極めて困難になります。そのため話し合いがこじれて調停・審判になり、相続財産の10%~20%の費用と約1年~3年の期間をかけてようやく分割が終了するケースも多く見受けられます。
そして審判による分割の場合、単に法定相続分に応じた分配となることがほとんどですので、話し合いによる分割協議と比べた場合その経済的損失は多大なものとなります。
それまでの家族との絆や大切な財産を守るためにも、相続人間の譲り合う心が大切だと思います。

相続人の合意によって相続不動産の評価を確定する方法

固定資産税評価額、相続税路線価、公示地価、不動産業者による最終的な成約予想価格、必要に応じて不動産鑑定士の鑑定評価等、できるだけ情報を集め各評価額を対比した上で、各当事者が合意できる可能な額につき以下のように検討します。

  • 相続税路線価で合意する。
  • 公示地価=相続税路線価÷0.8(=1.25倍)で合意する。
  • 公示地価と相続税路線価の中間値で合意する。
  • 各評価の差があまりない場合には、その中間値で合意する。
  • 複数の価格がある場合、一番高いものと一番低いものとを除き、残りの価格の中間値で合意する。
  • 不動産を複数の相続人が欲しがっている場合は入札を行い、一番高い値を付けた相続人がその不動産を相続し、入札額をその不動産の評価額とする。

ただ不動産業者や不動産鑑定士に依頼した場合、誰が依頼したかなど恣意的な判断がされない中立的な立場の方を探すのも難しいのも実情です。

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公的な価格を利用して、公示地価、相続税路線価、公示地価と相続税路線価の中間値の中で、当事者の合意または神様に決めてもらうのが結果的に一番かと思います。

数次相続による相続税

配偶者の相続税額の軽減

配偶者の税額の軽減とは、被相続人の配偶者が遺産分割や遺贈により実際に取得した正味の遺産額が、次の金額のどちらか多い金額までは配偶者に相続税はかからないという制度です。(相続税法19条)

  • 1億6千万円
  • 配偶者の法定相続分相当額

この軽減措置を受ける注意としては、相続税の申告期限までに分割されていない財産は税額軽減の対象とはなりません。
ただし、相続税の申告書又は更正の請求書に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付した上で、申告期限までに分割されなかった財産について申告期限から3年以内に分割したときは、税額軽減の対象になります。

配偶者の相続税の軽減措置は有利なのか?

例)死亡時の本人(夫)の相続財産10,000万円・妻の相続財産4,000万円、相続人は妻と子1人の場合

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一次相続

まず夫が死亡して、妻と子1人が相続した場合
妻と子の法定相続割合は、それぞれ50%となります。

  • 基礎控除の金額= 3,000万円+600万円×2= 4,200万円
  • 課税遺産額= 10,000万円-4,200万円= 5,800円
  • 各人の法定相続分= 5,800万円÷2= 2,900万円

    この時の税率15%、控除額は50万円

  • 各人の相続税= 2,900万円×15/100-50万円= 385万円
  • 相続税の総額= 385万円×2= 770万円

妻の相続割合における一次相続時の相続税(万円)

相続税の総額×按分割合=算出相続税となるので、相続税の総額770万円を妻と子の実際の相続割合で按分して、各々の相続税を算出します。

妻の相続割合 一次相続合計
相続財産 相続税 相続税 相続税
100% 10,000 0 0 0
90% 9,000 0 77 77
80% 8,000 0 154 154
70% 7,000 0 231 231
60% 6,000 0 308 308
50% 5,000 0 385 385
40% 4,000 0 462 462
30% 3,000 0 539 539
20% 2,000 0 616 616
10% 1,000 0 693 693
0% 0 0 770 770

二次相続

次に妻が死亡して、子1人が相続した場合

  • 基礎控除の金額= 3,000万円+600万円×1= 3,600万円
  • 課税遺産額= 夫からの相続額+4,000万円-3,600万円
概要 改正後
1000万円以下 10%(控除額 0万円)
3000万円以下 15%(控除額 50万円)
5000万円以下 20%(控除額 200万円)
1億円以下 30%(控除額 700万円)
2億円以下 40%(控除額 1,700万円)

妻の相続割合における二次相続時の相続税(万円)

  • 2次相続税額= 課税遺産額×相続税率/100-控除額
  • 数次相続税額= 1次相続税額+2次相続税額
妻の相続割合 一次相続税 二次相続 相続税合計
相続財産 課税遺産額 相続税率 控除額 相続税
100% 0 14,000 10,400 40% 1,700 2,460 2,460
90% 77 13,000 9,400 30% 700 2,120 2,197
80% 154 12,000 8,400 30% 700 1,820 1,974
70% 231 11,000 7,400 30% 700 1,520 1,751
60% 308 10,000 6,400 30% 700 1,220 1,528
50% 385 9,000 5,400 30% 700 920 1305
40% 462 8,000 4,400 20% 200 680 1,142
30% 539 7,000 3,400 20% 200 480 1,019
20% 616 6,000 2,400 15% 50 310 926
10% 693 5,000 1,400 15% 50 160 853
0% 770 4,000 400 10% 0 40 810

数次相続による相続税

配偶者の相続税額が軽減されたとしても、数次相続では節税したことにならない

上記の例は、夫が亡くなり妻と子供が相続した後、妻が亡くなり子供1人が相続する場合の数次相続の相続税のシミュレーションです。
上記の表より数次相続による相続税の合計額としては、妻と子供が相続する時に必ずしも配偶者の相続税額の軽減を利用したとしても、数次相続した場合の相続税額として有利にならないことが分かります。

ただ上記の例では、夫が死亡してから妻が死亡するまでの間で、贈与を行うなどの相続税対策を考慮しておりませんので、これらの相続税対策を行うことで、配偶者の相続税額の軽減を利用することも有効な手段となる場合も有ります。
男性と女性の平均寿命や、各家庭におけるさまざま事情を考慮し、1次相続における適正割合を決められることが数次相続による相続税の節税には有効となります。

生前贈与と特別受益

贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)

相続などにより財産を取得した人が、被相続人からその相続開始前3年以内(死亡の日から遡って3年前の日から死亡の日までの間)に贈与を受けた財産があるときには、その人の相続税の課税価格に贈与を受けた時の贈与財産の価額を加算します。
また、その加算された贈与財産の価額に対応する贈与税の額は、加算された人の相続税の計算上控除されることになります。(相続税法19条)

1.加算する贈与財産の範囲

被相続人から生前に贈与された財産のうち相続開始前3年以内に贈与されたものです。3年以内であれば贈与税がかかっていたかどうかに関係なく加算します。
したがって、基礎控除額110万円以下の贈与財産や死亡した年に贈与されている財産の価額も加算することになります。

2.加算しない贈与財産の範囲

被相続人から生前に贈与された財産であっても、次の財産については加算する必要はありません。

  • 贈与税の配偶者控除の特例を受けている又は受けようとする財産のうち、その配偶者控除額に相当する金額
  • 直系尊属から贈与を受けた住宅取得等資金のうち、非課税の適用を受けた金額
  • 直系尊属から一括贈与を受けた教育資金のうち、非課税の適用を受けた金額
  • 直系尊属から一括贈与を受けた結婚・子育て資金のうち、非課税の適用を受けた金額

3.控除する贈与税額

控除する贈与税額は、相続税の課税価格に加算された贈与財産に係る贈与税の税額です。ただし、加算税、延滞税、利子税の額は含まれません。

特別受益の持ち戻し

相続発生3年以内の贈与財産は相続財産として持ち戻して計算することになります。言い換えれば相続が発生した時から3年を超えた生前贈与については、既に贈与税を納付して被相続人の財産から切り離されているものですから、相続税を計算する為の課税対象には含まれません。

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しかし民法上の処理は異なり、遺産分割の際にはそれらの財産を含めて相続分を計算しなければなりません。
このとき該当する贈与や遺贈の事を「特別受益」といい、それらを遺産に含める事を「特別受益の持ち戻し」といいます。

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1.特別受益の持ち戻し

例えば、死亡時の相続財産1,200万円、相続人は子2人(長男と長女)、相続人の子の長男が2,000万円の生前贈与を受けていた場合

民法903条1項により。相続財産は3,200万円として計算されます。これをみなし相続財産といいます。
相続人が2人なので、1人あたり相続分は1,600万円ずつとなります。

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しかし現実には相続財産が1,200万円しかないため、生前贈与を受けていない方の相続分は1,200万円だけということになります。
民法903条2項により、相続できるはずだった足りない400万円を、生前贈与を受けた相続人に対して支払ってもらうような請求はできません。

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2.持ち戻しの免除

ここで民法903条3項には、持ち戻しの免除という制度があります。
被相続人が遺言で、贈与(生前贈与、遺贈)した金額に対して、「相続のときに持ち戻さなくてよい」という意思表示することができます。
この場合、生前贈与の持ち戻しがされません。

現実に残っている1,200万円なので、1人600万円ずつ相続することになります。
2,000万円の生前贈与を受けている相続人は、トータル2,600万円をもらうことになり、一方は600万円しかもらえない結果となります。
特別受益が相続分を超えていたとしても、他の相続人に超えていた分を支払う必要はありません。

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3.遺留分

しかし特別受益が他の相続人の遺留分を侵害していた場合、他の相続人による遺留分減殺請求によって、特別受益者は遺留分を侵害した分を支払う事になります。
被相続人が「特別受益を財産に加えない」という意思を遺言で表示している場合は、特別受益を持ち戻さない事も可能ですが、それでも遺留分の制限は受けることにはなるのです。

みなし相続財産から計算すると800万円が遺留分となります。
持ち戻しを免除された結果、600万円しか手元に残らなかった相続人は、遺留分に足りない200万円を生前贈与を受けた相続人に請求できることができます。

特別受益者の相続分(民法903条)

  • 1.共同相続人中に、被相続人から、遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与の価額を加えたものを相続財産とみなし、前三条の規定により算定した相続分の中からその遺贈又は贈与の価額を控除した残額をもってその者の相続分とする。
  • 2.遺贈又は贈与の価額が、相続分の価額に等しく、又はこれを超えるときは、受遺者又は受贈者は、その相続分を受けることができない。
  • 3.被相続人が前二項の規定と異なった意思を表示したときは、その意思表示は、遺留分に関する規定に違反しない範囲内で、その効力を有する。

特別受益の価値

特別受益の価値は「相続が発生した時点での価値」となります。2,000万円の土地を生前贈与で受けとた場合、相続発生時にその土地が3,000万円になっていたら、その土地の価値は3,000万円となります。

相続放棄と医療費

相続放棄しても、病院側から医療費を請求され支払う必要がある場合があります。
まずは相続放棄の効力からみていきます。

相続放棄

相続の放棄の効力(民法939条)

  • 相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。

「初めから相続人とならなかったものとみなされる」ため、相続放棄した相続人の直系卑属には代襲相続権(民法第887条)は発生しません。
また相続放棄の効果には絶対効があるため、その効果を第三者にも対抗できます。

被相続人の債権者からの請求

被相続人に多額の借金がある場合、相続放棄の手続きを家庭裁判所に申述することができます。
被相続人の債権者から返済を請求されても、家庭裁判所から交付を受けた相続放棄申述受理証明書のコピーを債権者に送付すれば、請求されなくなります。

このように相続放棄した場合は、被相続人の借金による弁済を免れることができるのですが、以下のような場合においては支払い義務が生じることがあります。
ここで注意して頂きたいことは、どれも相続の問題になっていないという事です。

同居している配偶者への医療費の請求

被相続人である夫の借金が多額であったため、配偶者である妻が相続放棄をした場合でも、入院していた際の医療費は日常家事債務に該当するため、相続人である妻は連帯債務者として支払い義務が生じます。

日常の家事に関する債務の連帯責任(民法761条)

  • 夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたときは、他の一方は、これによって生じた債務について、連帯してその責任を負う。ただし、第三者に対し責任を負わない旨を予告した場合は、この限りでない。

日常家事債務の範囲(裁判例)

  • 夫婦の一方が賃貸借契約を締結した借家の家賃
  • 夫婦が暮らす家の水道光熱費・テレビ受信料
  • 生活必需品の購入費
  • 子供の教育・養育費
  • 家族の医療費
  • レジャー費・被服費・化粧品代

被相続人の保証人への医療費の請求

入院が決まると患者に「入院誓約書」というA4用紙1枚の書面が渡され、これに同意した上で、患者本人と保証人に署名・押印を求められます。

入院誓約書

  • 医師と看護師の指示に従い治療に専念します。
  • 入院料や治療費を支払います。
  • 患者の身元は保証人が引き受けます。

この「入院誓約書」に保証人として同意した場合、被相続人が死亡して相続放棄したとしても相続の問題とはならず、保証人として入院費の請求を拒むことはできまません。

入院時の保証人としての法的な意味

  • 身元保証人
  • 連帯保証人
  • 身元引受人

いずれも「入院患者に万が一のことがあったら責任をもって対応する人」という点では同じです。

医師の応招義務

「入院するときは保証人を付けなければならない」という法律はなく、医師は法律で「保証人がいない」という理由のみで、患者の入院を拒むことはできません。

医師法19条

  • 診療に従事する医師は、診察治療の求めがあつた場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない。

この場合の診療を拒否する正当な理由とは?

厚生労働省による通達と解釈

  • 診療報酬が不払いであっても拒否できない。

    最初から支払う意思が無いとみなされる場合は、診療を拒否できる場合があります。

  • 診療時間外でも急患については拒否できない。

    「被告の診療時間外で応急体制になかったこともあり救急病院での受信を被告が勧めたとこと原告も救急車を呼んだ経緯等から,被告には診療を拒否したとは認められない」(東京地方裁判所平成17年11月15日)

  • 標榜する診療科目以外でも応急処置等できる範囲のことはしなければならない。

    標榜する診療科目以外である場合には,応急処置以上の診療を行うべきとは言えませんし,緊急を要しない場合には診療科目以外であることを理由に拒否することは許される場合があります。

  • 疲労や病気を理由とする場合には,診療が不可能といえる程度であることを要し,単なる経度の疲労を理由に拒否できない。

    医師の健康状態が診療によって悪化する場合や,患者に感染する可能性のある病気である場合には拒否することも許される場合があります。

生活費及び教育費の贈与

従来からの非課税規定

贈与税の非課税財産(相続税法21条の3)

  • 次に掲げる財産の価額は、贈与税の課税価格に算入しない。

    一 法人からの贈与により取得した財産
    二 扶養義務者相互間において生活費又は教育費に充てるためにした贈与により取得した財産のうち通常必要と認められるもの
    三 宗教、慈善、学術その他公益を目的とする事業を行う者で政令で定めるものが贈与により取得した財産で当該公益を目的とする事業の用に供することが確実なもの

  • 以下略

扶養義務者(民法877条)

  • 1.直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。
  • 2.家庭裁判所は、特別の事情があるときは、前項に規定する場合のほか、三親等内の親族間においても扶養の義務を負わせることができる。
  • 3.前項の規定による審判があった後事情に変更を生じたときは、家庭裁判所は、その審判を取り消すことができる。

親が子供や孫の生活費・教育費を支出しても、扶養義務者への贈与税は非課税となります。
また別枠で毎年110万円贈与することができ、これも非課税となります。

扶養義務者からの生活費及び教育費の贈与

これらの扶養義務者に対する贈与税の非課税枠を利用して、本人と同居している子の長男夫婦家族への生活費及び教育費の贈与について考えてみます。

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    • 1.本人と同居している長男夫婦が支払うべき生活費及び教育費として、月30万円を負担します。
      毎年360万円・10年間で3600万円で無税で贈与できます。

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    • 2.長男及び嫁・孫・長女・次女の計5人に対して毎年110万円を贈与します。
      毎年550万円・10年間で5500万円で無税で贈与できます。

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  • 3.上記の贈与を組み合わせると、毎年(360万円+550万円=910万円)を無税で次世代の相続人に承継させることが出来ます。
    したがって10年実行すると9,100万円、20年実行すると1億8,200万円が非課税となります。

直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度

平成25年4月1日から平成31年3月31日までの間に、30歳未満の方(以下「受贈者」)が、教育資金に充てるため、金融機関等との一定の契約に基づき、受贈者の直系尊属(祖父母など)から以下の要件のときに、信託受益権又は金銭等の価額のうち1,500万円までの金額に相当する部分の価額については、金融機関等の営業所等を経由して教育資金非課税申告書を提出することにより贈与税が非課税となります。

  • 信託受益権を付与された場合
  • 書面による贈与により取得した金銭を銀行等に預入をした場合
  • 書面による贈与により取得した金銭等で証券会社等で有価証券を購入した場合(以下「教育資金口座の開設等」といいます)

この制度を利用するには、上記のような教育資金口座の開設等が必要となります。
また教育資金の支払いを行った場合は、金融機関等の営業所等に領収書等の提出を行う必要があります。

教育資金贈与の非課税制度のパンフレット

第三者による相続人調査

借家人死亡後の賃貸借契約

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近年、家族や社会から孤立している独居生活者が増加しており、高齢者等の借家人の孤独死・孤立死により大家さんが事後処理に苦慮するという問題が多く発生しています。

借家人は、大家さんに賃料支払義務を負っている債務者というだけでなく、大家さんに対して目的物を使用収益させる権利や将来の敷金返還請求権を有する債権者でもあります。
借家人の死亡によって賃貸借契約は消滅せず、賃借権は相続財産として相続人に当然に承継されることになります。
相続人が複数であればその全員が共同相続し、全員が使用収益権を有することになります。(民法264条)

この点は、賃料支払義務のない使用貸借(民法599条)が借主の死亡により消滅するのとは異なります。なお、部屋に残された動産類の遺留品も当然に相続財産であり、賃貸人が勝手に処分することはできません。

第3者による相続人調査

job_bengoshi_manそこで大家さんは、交渉相手として新たに賃借人となる相続人を探すことから始めなければなりません。

大家さん(賃貸人)は、未払分の賃料については債権者の立場になり、敷金・保証金の返還については逆に債務者の立場になります。また、遺留品や残置物の処分についても対応を誤ると後々賠償問題にも発展しかねませんので清算業務は慎重に行う必要があります。
また部屋によっては、残置物によりゴミ屋敷になっていることも多く、それにより腐敗臭がしたり壁紙や床の損傷が拡大することもあります。

滞納分の家賃が敷金・保証金で賄えない場合、保証人がいれば保証人に対して請求することになりますが、実際には保証人に支払能力がなかったり、所在不明であったりすることも予想されます。また、相続人に対して請求しても、賃貸借契約の継続を望まない相続人であれば支払に難色を示すことも十分考えられますので、滞納家賃をいたずらに増やさないためにも清算事務は早めに対処することが賢明です。

具体的には、戸籍調査により賃借人の生まれてから死亡するまでの戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍を収集し、さらには賃借人の相続人である子の戸籍と戸籍の附票も収集しなければならず、賃借人の親族が保証人となっている場合等、親族の協力が得られる場合はよいですが、事案によっては数か月以上かかることもあります。

パーソナル法務事務所では、そんな悩める大家さんをサポートするべく、迅速に亡くなられた賃借人の相続人調査をいたします。大阪だけでなく京都、神戸、奈良、和歌山からも広くご相談を受け付けております。

相続財産の清算処理

job_ooya戸籍調査等で相続人が判明した場合、賃貸借契約を終了させるには、相続人全員に対して解除の意思表示をする必要があります。(民法544条1項、最高裁S36.12.22)
その時点で賃料がある程度滞納となっていることが多いと思われるので、敷金から滞納賃料を控除しても賃借人に返還すべきものがない状況であれば、催告及び解除の通知により終了させることも考えられます。しかし、一方的意思表示による場合、家賃の滞納があっても信頼関係の破壊がなければ解除権を行使できないという判例法理や、残存動産類の処分の問題で、後で争いになる可能性があります。

よって、あらためて相続人全員と合意解除の書面を交わしておくべきです。具体的には、相続人全員から、合意解除の同意書を取得しておくのがですがその同意書の中で、敷金の処理、残存動産類の処理(賃貸人において処分する等)は明確にしておくべきです。

行旅病人及行旅死亡人取扱法

個人情報の保護に関する法律

例えば、身元不明の患者の携帯から緊急に親族などの身内に連絡を取る必要があるとき、本人の生命に危険が及ぶような場合であれば、個人情報保護法の利用目的の適応除外規定に該当します。

さらに身分証明書をまったく持っていない、携帯電話等連絡先手段も持っていない、そのような時は市町村の行旅病人担当課へ連絡し「行旅病人及行旅死亡人取扱法」に基づいて対応することとなります。

個人情報の保護に関する法律

(利用目的による制限)

  • 第十六条 個人情報取扱事業者は、あらかじめ本人の同意を得ないで、前条の規定により特定された利用目的の達成に必要な範囲を超えて、個人情報を取り扱ってはならない。
  • 2 個人情報取扱事業者は、合併その他の事由により他の個人情報取扱事業者から事業を承継することに伴って個人情報を取得した場合は、あらかじめ本人の同意を得ないで、承継前における当該個人情報の利用目的の達成に必要な範囲を超えて、当該個人情報を取り扱ってはならない。
  • 3 前二項の規定は、次に掲げる場合については、適用しない。

    一 法令に基づく場合。
    二 人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき。
    三 公衆衛生の向上又は児童の健全な育成の推進のために特に必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき。
    四 国の機関若しくは地方公共団体又はその委託を受けた者が法令の定める事務を遂行することに対して協力する必要がある場合であって、本人の同意を得ることにより当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるとき。

行旅病人及行旅死亡人取扱法

行旅病人及行旅死亡人取扱法(こうりょびょうにん および こうりょしぼうにん とりあつかいほう)は、行旅人が病気や死亡をした場合に所在地の市町村が救護するべきことなどを定める明治32年3月28日公布された現行法です。

行旅死亡人は「行旅病人及行旅死亡人取扱法」、身元のわかる遺体は「墓地、埋葬等に関する法律」(墓地埋葬法)が適用されます。

行旅病人及行旅死亡人取扱法第1条2項

  • 住所、居所もしくは氏名が知れず、かつ、引取る者がいない死亡人は行旅死亡人とみなす

住居にて発見された遺体(いわゆる孤独死)や、遺留品中に身分証明書があった場合でも、本人と断定することができなければ、行旅死亡人として取り扱われます。

行旅病人及行旅死亡人取扱法第7条

  • 行旅死亡人がいるときはその所在地の市町村が、その状況や容貌、遺留物件などの本人の認識に必要な事項を記録した後で、その遺体の火葬、埋葬をしなければならない

墓地または火葬場の管理者はこの火葬や埋葬を拒むことができないとされています。

行旅病人及行旅死亡人取扱法第9条

  • 行旅死亡人の本人の認識に必要な事項を官報等に公告しなければならない

行旅死亡人は該当する法律である行旅病人及行旅死亡人取扱法により、死亡推定日時や発見された場所、所持品や外見などの特徴などが市町村長名義にて、詳細に官報に公告して掲載されます。
行旅死亡人となると地方自治体が遺体を火葬し遺骨として保存、官報の公告で引き取り手を待つ事となります。

行旅病人及行旅死亡人取扱法と墓地埋葬法に基づく行政の対応

  • 行旅病人の救護(病院への通院・入院等)
  • 行旅死亡人及び葬祭執行者がいない死亡人の葬祭の執行

身元のわかる遺体の取り扱い

自治体は墓地埋葬法の規定に基づいて対応します。

墓地埋葬法9条

  • 死体の埋葬又は火葬を行う者がないとき又は判明しないときは、死亡地の市町村長が、これを行わなければならない。
  • 二 前項の規定により埋葬又は火葬を行つたときは、その費用に関しては、行旅病人及び行旅死亡人取扱法(明治三十二年法律第九十三号)の規定を準用する。

墓地埋葬法3条

  • 埋葬又は火葬は、他の法令に別段の定があるものを除く外、死亡又は死産後二十四時間を経過した後でなければ、これを行つてはならない。但し、妊娠七箇月に満たない死産のときは、この限りでない。

墓地埋葬法4条

  • 埋葬又は焼骨の埋蔵は、墓地以外の区域に、これを行つてはならない。
  • 火葬は、火葬場以外の施設でこれを行つてはならない。

墓地埋葬法21条1号

  • 左の各号の一に該当する者は、これを千円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

    一 第三条、第四条、第五条第一項又は第十二条から第十七条までの規定に違反した者
    二 第十八条の規定による当該職員の立入検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者、又は同条の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をした者

身元不明の患者への対応

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身元不明の患者が危篤状態のとき、家族への連絡手順

1.本人の携帯電話などから連絡先を探します。
(個人情報であるが、緊急事態であるので個人情報保護法の利用目的の適用除外項目にあたり問題はないです。)
2.警察へ連絡し協力を依頼(事件性の確認)し、市町村の福祉課にて対応して頂きます。(親族の捜索も市町村役場にて行います。)

身元不明の患者が入院費用が未払いのままで死亡した場合

1.とりあえず身寄りの無い方として病院長が届出人として市区町村に死亡届けを提出することになります。
2.同時に申請されれば、葬祭を行われた方(病院等の施設長、自治会長、民生委員等)に葬祭費が支給されます。
3.申請時、喪主様のわかる書類(領収書、会葬礼状など)が必要です。

身元不明人が死亡した場合の多くは、死亡後の遺体への早急な対応があるため、身寄りの無い方として行旅病人及行旅死亡人取扱法に準じた処理が市区町村と協議され処理されているようです。

相続財産法人による清算

もし相続人が誰もいなかった(相続人が全員相続放棄した)場合は、相続財産管理人の選任を申し立てて、同管理人から弁済を受けることになります。

行旅病人及行旅死亡人取扱法による清算

行旅病人及行旅死亡人取扱法に基づき、市区町村が身元判明まで入院費用を立て替え払いします。

  • 行旅病人の場合は、同居の家族、職業、住所などを聞き、支払い能力があるかどうかを調べます。
  • 行旅死亡人であれば、遺留品から活用できるものがないか調べます。
  • 今回の事件の請求をします。本人に支払が出来ないときは親族に請求します。
  • 行旅病人及行旅死亡人取扱法に基づき、所在地の市区町村が身元判明まで入院費用等を立て替えます。
  • 親族がいなければ、市区町村は都道府県費用を請求します。
  • 親族がいても支払い拒絶が正当な理由であれば、市区町村は都道府県に費用を請求します。

本人や親族に費用を請求してはみるものの、実際には費用弁償をきちっと行ってくれることは稀で、というかほとんど無いのが現実です。そのため、結局は都道府県の負担となってしまいます
行旅死亡人については、葬儀も行って火葬をし遺骨もあるのだが、基本的に親族がその遺骨の引き取りを拒否するケースが多く、「生前から付き合いがなかった」とか、「借金など様々な面で迷惑を掛けられて縁を切った」とか、そういった話を聞かされることがよくあるようです。
とはいえ、遺骨は埋葬しなければならないので最終手段として無縁仏として無縁墓地に葬られることになります。

医師法

医師法1条

  • 医師は、医療及び保健指導を掌ることによつて公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もつて国民の健康な生活を確保するものとする。

このように国民の保健上極めて重要な役割を担う医師については、医師の任務・免許・試験・臨床研修・業務・医師試験委員・罰則などについて、医師法という法律で規定しています。

医師法24条

  • 医師は、診療をしたときは、遅滞なく診療に関する事項を診療録に記載しなければならない。
  • ニ 前項の診療録であつて、病院又は診療所に勤務する医師のした診療に関するものは、その病院又は診療所の管理者において、その他の診療に関するものは、その医師において、五年間これを保存しなければならない。

医師法には守秘義務を直接規定していませんが、情報を適切に管理することが求められています。
守秘義務としては刑法に以下の定めがあります。

刑法134条1項

  • 医師、薬剤師、医薬品販売業者、助産師、弁護士、弁護人、公証人又はこれらの職にあった者が、正当な理由がないのに、その業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたときは、6月以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

刑法135条(親告罪)

  • この章の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。

適切な医療を施すためには患者からの通常は人に知られたくないような事実の開示が不可欠ですが、そのためには開示した事実が医師から他に漏らされることがないという医師に対する信頼が必要であることから医師には、守秘義務が課せられています。

医師法21条

  • 医師は、死体又は妊娠4月以上の死産児を検案して異状があると認めたときは、24時間以内に所轄警察署に届け出なければならない。

医師法には、届出義務が規定されています。
この届け出るべき「異状死」とは何かについて、日本法医学会は平成6年5月に「異状死ガイドライン」を作成ました。

異状死ガイドライン

  • 異状死体を「確実に診断された内因性疾患で死亡したことが明らかである死体以外の全ての死体」と定義

上記のように、医師法では守秘義務・届出義務が課せられ、これに違反した医師には、罰則が規定されています。

医師法33条2項1号

  • 次の各号のいずれかに該当する者は、五十万円以下の罰金に処する。

    第六条第三項、第十八条、第二十条から第二十二条まで又は第二十四条の規定に違反した者

最後に医療関係者向けの検索サイトとして、鹿児島県地域医療・福祉情報サイトに身寄りのいない人の支援内容(死亡時など) にも詳しく記載されていました。

身寄りのない方の相続

身寄りのない方の相続

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身寄りのない方が亡くなった場合や相続人全員が相続放棄する場合など、相続人の不存在の疑いがある場合や相続人がいない場合、相続財産を管理し相続人の不存在が明らかとなれば相続財産を清算し、最終的な帰属を決める必要があります。

そのため亡くなられた方の財産は「相続財産法人」という一つのまとまりになって、管理され清算されていくことになります。(民法951条)

相続財産法人の設立

相続財産法人は、相続人の存在が明らかでないときに、特段の手続を要さずに成立します。

相続財産管理人の選任

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その亡くなられた方の財産の管理や清算を誰がするのかというと、相続の利害関係人か検察官が申し立てを行い、家庭裁判所が相続財産管理人を選任することとなります。

この利害関係人とは、相続債権者、特定受遺者、相続債務者のほか、被相続人に対して何らかの請求権を持つ者が該当します。

利害関係人は家庭裁判所に、推薦と言う形で相続管理人を選任請求することもできますが、家庭裁判所はそれを無視して適任者を選ぶ場合もあります。

家庭裁判所は、相続財産管理人を選任したときは、遅滞なく官報によって公告します。(民法952条2項)

相続債権者及び受遺者に対する弁済

そして2ヶ月以内に相続人が現れなかったときには清算手続きを行い、2ヶ月以上の期間を定めて、相続債権者と受遺者に対する公告を行います。(民法957条)

相続人捜索の公告

それでも相続人が現れないときは、家庭裁判所は6ヶ月以上の期間を定めて、あらためて相続人捜索の広告をします。(民法958条)
この期間までに相続人が現れないときは、相続人は相続する権利を失います。(民法958条の2)

特別縁故者に対する財産分与

相続財産管理人は相続財産の管理・処分を行いますが、特別縁故者がいれば家庭裁判所の許可を得て相続財産を分与して、残った残余の相続財産は、国庫に帰属することになります。

特別縁故者

特別縁故者とは、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者、その他被相続人と特別の縁故があった者を指しますので、内縁の妻や夫などがその例です。

単に家族と疎遠になっている場合は、通常の相続と同じ手続きとなります。

関連するコラム

  • 身元不明の患者の対応として、個人情報保護法との問題、行旅病人及行旅死亡人取扱法や医師法についても記載しています。» くわしくはコチラ

年間110万円までの贈与は得なのか?

年間110万円までの贈与の検証

相続人は子供1人で相続財産4億5千万円の場合において、10年間・毎年100万円贈与した場合と毎年1,000万円贈与したあと、3年後に相続が発生した場合における贈与税と相続税の合計額を比較検証してみます。

毎年100万円贈与した場合と毎年1,000万円贈与した場合の贈与税額

年数 100万円/年
贈与した場合
100万円/年
贈与時の贈与税
1,000万円/年
贈与した場合
1,000万円/年
贈与時の贈与税
1年目 100万円 0円 1,000万円 177万円
2年目 100万円 0円 1,000万円 177万円
3年目 100万円 0円 1,000万円 177万円
4年目 100万円 0円 1,000万円 177万円
5年目 100万円 0円 1,000万円 177万円
6年目 100万円 0円 1,000万円 177万円
7年目 100万円 0円 1,000万円 177万円
8年目 100万円 0円 1,000万円 177万円
9年目 100万円 0円 1,000万円 177万円
10年目 100万円 0円 1,000万円 177万円
3年後相続開始
時の合計額
1,000万円 0円 10,000万円 1,770万円
  • 毎年100万円した場合の総贈与税→→0万円
  • 毎年1,000万円した場合の総贈与税→→1,770万円

10年間・毎年100万円贈与した場合と毎年1,000万円贈与したあと、3年後に相続が発生した場合の相続税額

相続人は子供1人で、相続財産4億5千万円の場合の基礎控除額は、3,000+600=3,600万円となります。

相続財産3億円超~6億円以下の相続税の税率と控除額

税率 控除額
概要 50% 4,200万円

毎年100万円贈与した場合の相続税額

総課税価格=遺産総額-贈与額=45,000-1,000=44,000万円
相続税額=(総課税価格-基礎控除額)×税率-控除額=(44,000-3,600)×50/100-4,200=16,000万円

毎年1,000万円贈与した場合の相続税額

総課税価格=遺産総額-贈与額=45,000-10,000=35,000万円
相続税額=(総課税価格-基礎控除額)×税率-控除額=(35,000-3,600)×50/100-4,200=11,500万円

  • 毎年100万円した場合の相続税額→→16,000万円
  • 毎年1,000万円した場合の相続税額→→11,500万円

年間110万円までの贈与が有利とは限らない!

10年間・毎年100万円贈与した場合と毎年1,000万円贈与したあと、3年後に相続が発生した場合の贈与税と相続税の合計額

  • 毎年100万円した場合の税額合計=相続税額+贈与税額=16,000+0=16,000万円
  • 毎年1,000万円した場合の税額合計=相続税額+贈与税額=11,500+1,770=13,270万円

上記の検証より、年間110万円までの贈与が必ずしも有利とは限りません。
相続税の適用税率に応じた適切な贈与をすることが重要です!

平成27年施行の相続税改正

平成27年1月1日以降開始の相続から、相続税が増税となりました。
ここでは大きく改正されたポイントによって、どれくらい増税になるのかを検証します。

基礎控除額の改正

改正前 改正後
概要 5,000万円+(1,000万円×法定相続人の数) 3,000万円+(600万円×法定相続人の数)

例:親が死亡し法定相続人が子供2人で、相続財産の合計が5,000万円の場合

改正前の基礎控除の計算方法

  • 基礎控除の金額 5,000万円+1,000万円×2 = 7,000万円
  • 相続財産5,000万円 < 基礎控除額7,000万円

    ⇒基礎控除が相続財産を上回るので相続税の納税なし。

改正後の基礎控除の計算方法

  • 基礎控除の金額 3,000万円+600万円×2 = 4,200万円
  • 相続財産5,000万円 > 基礎控除額4,200万円

    ⇒相続財産が基礎控除を上回るので相続税の納税が発生。

税率の改正

概要 改正前 改正後
1000万
円以下
10%(控除額 0万円) 10%(控除額 0万円)
3000万
円以下
15%(控除額 50万円) 15%(控除額 50万円)
5000万
円以下
20%(控除額 200万円) 20%(控除額 200万円)
1億円
以下
30%(控除額 700万円) 30%(控除額 700万円)
2億円
以下
40%(控除額 1,700万円) 40%(控除額 1,700万円)
3億円
以下
40%(控除額 1,700万円) 45%(控除額 2,700万円)
6億円
以下
50%(控除額 4,700万円) 50%(控除額 4,200万円)
6億円
50%(控除額 4,700万円) 55%(控除額 7,200万円)

各法定相続人の所得金額が2億円超から3億円以下の部分は40%から45%へ引き上げられ、6億円超の部分は50%から55%へ引き上げられました。

相続税の増加額

さて上記の基礎控除額の改正と税率の改正により、どれくらい増税になるのかを検証します。
例:親が死亡し法定相続人が子供2人で、相続財産の合計が50,000万円の場合

改正前の相続税の総額の計算方法

  • 基礎控除の金額= 5,000万円+1,000万円×2= 7,000万円
  • 課税遺産額= 50,000万円-7,000万円= 43,000円
  • 子供1人の法定相続分= 43,000万円÷2= 21,500万円

    この時の税率40%、控除額は1,700万円

  • 子供1人の相続税= 21,500万円×40/100-1,700万円= 6,900万円
  • 相続税の総額= 6,900万円×2= 13,800万円

改正後の相続税の総額の計算方法

  • 基礎控除の金額= 3,000万円+600万円×2= 4,200万円
  • 課税遺産額= 50,000万円-4,200万円= 45,800円
  • 子供1人の法定相続分= 45,800万円÷2= 22,900万円

    この時の税率45%、控除額は2,700万円

  • 子供1人の相続税= 22,900万円×45/100-2,700万円= 7,605万円
  • 相続税の総額= 7,605万円×2= 15,210万円

上記より親が死亡し法定相続人が子供2人で、相続財産の合計が50,000万円の場合、改正後15,210万円-改正前13,800万円=1,410万円の増税となることが分かります。

改正後の相続財産による増加額例

課税価格 相続税
改正前 現行 差額
5,000万円 0円 80万円 80万円
1億円 350万円 770万円 420万円
3億円 5,800万円 6,920万円 1,120万円
5億円 1億3,800万円 1億5,210万円 1,410万円
10億円 3億7,100万円 3億9,500万円 2,400万円