遺言の範囲

遺言の範囲

遺言でのみ行うことができるケース

  • 未成年の子がいる場合の後見人の指定(民法839条、民法848条)
  • 相続分の指定、または指定の委託(民法902条)
  • 遺産の分割方法の指定、または指定の委託、若しくは遺産分割の禁止(最長5年間)の指示(民法908条)
  • 相続人間の担保責任の指定(民法914条)
  • 包括遺贈及び特定遺贈(民法964条)
  • 遺言執行者の指定、または指定の委託(民法1006条)
  • 遺留分の減殺方法の指定
  • 遺留分侵害額の負担についての意思表示(改正後民法1047条1項2号)

遺言のほかに生前行為で行うことができるケース

  • 戸籍に入っていない子の認知(民法781条2項)
  • 推定相続人の廃除、および廃除の取り消しの請求(民法893条、894条)
  • 祭祀承継者の指定(民法897条)
  • 持戻し免除の意思表示(改正後民法903条2項)
  • 配偶者居住権の存続期間に係る別段の定め(改正後民法1030条)
  • 後見監督人の指定
  • 財産の寄付
  • 財団法人の設立(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律152条2項)
  • 信託の設定(信託法3条2号)
  • 保険金受取人の変更(保険法44条、73条)

葬祭・埋葬方法の指定

遺言で葬儀や法要のやり方を指定することは、法定の遺言事項にあたりません。
葬儀や法要等に関する遺言は法律上の遺言事項ではなく、遺言者の希望の表明として、遺産の分配等に関する条項に続く付帯事項(付言)としての扱いとなります。

遺言では、遺言者の希望する葬送が確実に行われるようにするために、祭祀に主宰者を指定することも可能です。
また遺言執行者を指定して、遺言執行者との死後事務委任契約を締結する方法もできます。

このとき葬儀のやり方を指定したり、散骨等を埋葬の方式を指定する場合には、遺言者の生前に遺される方々に対して遺言者としての希望をお伝えし、実際に葬送を行うことになる人々との話あいや準備をしておくことが大切です。

あと任意後見人・成年後見人等は、ご本人が死亡した時点でその職務が終了します。
見守り契約のみ場合では、死後の事務を行うための財産的裏付けがなく、葬儀費用等の支払いを行うことができなるので注意が必要です。

短期的な死後の事務の内容

  • 委任者の生前に発生した債務の弁済
  • 委任者の死後の葬儀、埋葬もしくは永代供養に関する債務の弁済
  • 賃借建物の明け渡し、敷金もしくは入居一時金等の受領
  • 親族関係者への連絡
  • 家財道具や生活用品の処分に関する事務